【#半導体企業研究】株式会社マルマエ

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はじめに

 こんにちは、半導体を勉強中の🐇です。
 今回は、株式会社マルマエ(以下、マルマエ)の半導体関連事業について、扱っている製品やビジネスモデルを中心に深掘りをしていきます。企業のサイトやIR資料に記載されている公開情報を中心に、インターネットで閲覧可能な情報を基にまとめています。一部、他の公的資料を基にした🐇の推測を含みます。

マルマエの基本情報

公式SNS

X(旧Twitter):@Marumae_1988

Instagram:marumae_1988

マルマエ公式キャラクター

出典:株式会社マルマエ 公式X(旧Twitter)より

マルマエ公式キャラクター 「まるみる」
・歌とダンスが大好きな切削モグラ
・頭部は切削工具のエンドミル
・語尾は「ミル」
・自慢のヘアスタイルが乱れるので左回転は嫌い
・かわいい

会社概要

会社名:株式会社マルマエ
設 立:昭和63年10月

【事業内容】
精密機械・精密機器の設計・製造・加工・組立
精密機械部品の設計及び製作
産業及び医療機械器具の設計、製造、販売
精密機械部品及び機械装置の点検、修理
ソフトウエアの開発、販売
製缶工事
配管工事
運送業務
不動産の賃貸

株式関連

証券コード:6264
上場:東証プライム市場

6264マルマエ半導体製造装置向け真空パーツIR情報Yahoo!ファイナンスバフェット・コード株探

社名「マルマエ」の由来

 「丸く角が立たないように前に事業を進めていくこと」を大切にしていきたいという思いから、創業者が命名。敵を作るのではなく、味方や仲間を増やしていくことを大切にしています。

マルマエの事業

 マルマエの事業は、半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)等の製造装置に使用される真空チャンバーや電極などの真空部品の製造を行う「精密部品事業」の単一セグメントです。オートバイの元プロレーサーであった現社長が始めたオートバイレース用部品の製造から培った技術を応用し、半導体製造装置などむけの真空部品製造を主力としています。
2006年度はFPD向け事業が売り上げの大半を占めていましたが、現在では半導体向け事業が売上の7割以上を占めるようになりました。
 現時点では半導体とFPDを併せた売り上げが9割ほどを占めますが、太陽電池やスマホ塗装向け製造装置部品も製造している他、オートバイ向け部品の製造も継続しているようです。

出典:株式会社マルマエ マルマエレポート2021
出典:株式会社マルマエ マルマエレポート2022

マルマエの特徴・強み

「マルマエ生産方式」
・少量多品種や試作品生産の高効率化
・属人的な技術ノウハウに依存する事がないシステム化
・繰り返し生産向けのFA化、自動化、省人化
・ワンストップでの一貫生産と試作から量産まで対応可能な総合力

技術的難易度の高い真空パーツの切削工程から溶接工程、組立、表面処理まで一貫生産を行っています。

出典:株式会社マルマエ マルマエレポート2021

 また、マルマエレポート2021にて、マルマエの高生産性を実現する3つの強みとして「技術者の持つ製造ノウハウ」「同業他社を凌駕する生産能力」「多工程のワンストップ生産」を挙げています。先述のオートバイ部品製造で培われたノウハウの伝承と進化に加え、盤石な財務基盤による市場局面に対する臨機応変な設備投資、複数工程の加工の要素技術の集約によるワンストップ生産体制により、高付加価値部品の高生産性を確立しています。

出典:株式会社マルマエ マルマエレポート2021

マルマエの半導体事業・製品

マルマエが製造する半導体向け真空パーツとは

 半導体の製造工程は、原料のシリコンウェーハ上に回路を形成する前工程と、細かいチップに切り出したのちに外部電極を取り付けて封止する後工程に分けられます。その内、回路を形成する前工程では数多くの化学反応や物理的作用が用いられ、その多くが真空環境下で行われます。その真空環境下で使用される多様なパーツをマルマエは「真空パーツ」と呼んでいます。
 その真空環境を作り出すのに必要不可欠となるのが「真空チャンバー」です。真空チャンバーに取り付けられた真空ポンプでチャンバー内の空気を吸いだして排気し、限られた空間内に真空空間を形成します。一方で、チャンバー内に少しでも欠陥があるとリークしてしまい充分な真空環境を形成することができなくなるため、高度な加工技術が求められています。真空環境が求められる工程は、露光・成膜・エッチングといったキープロセスが多く、真空チャンバーにも高い技術力が要求されます。
 その真空チャンバーの中で、様々なプロセスを実行するために使用されるのが静電チャックやシャワーヘッド、ヒーター、スパッタリングターゲット材といった真空パーツになります。これらの真空パーツは一度取り付けたらずっと使い続けられるというわけではなく、真空環境下での摩耗などにより定期的な交換が必要となります。このような消耗品パーツは半導体製造装置の設置数に比例して需要が高まるものであり、マルマエの強みが発揮される分野となります。

強みを持つ工程

 マルマエの真空パーツは、半導体製造の中でも原料のウェーハに回路を作る前工程で使用される製造装置に組み込まれます。その中でも特に、CVD・エッチング・フォトレジスト塗布・洗浄の工程で使用される装置パーツに強みを持っています。

出典:株式会社マルマエ マルマエレポート2021

マルマエの商流・主要顧客

商流

 マルマエで製造された真空パーツが半導体製造装置の一部として組み込まれ、その製造装置が世界各地の半導体製造工場で使用されます。また、定期的に交換が必要となる消耗品パーツは製造装置メーカーを介して半導体工場に設置されている装置に改めて取り付けられます。

出典:株式会社マルマエ マルマエレポート2021

主要な顧客

 前述の通り、マルマエの顧客は半導体製造装置メーカーと間接的な部品メーカーになります。

 以下は、2019年8月期から2023年8月期までの各年度の有価証券報告書に記載されている、期別での売り上げの内訳と主要顧客になります。

 一貫して共通しているのは、主要顧客に半導体製造装置メーカーの東京エレクトロングループの企業(東京エレクトロン宮城・東京エレクトロン九州・東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ)が名を連ねており、グループ合計ではマルマエとして一番売上比率が高い企業であるということです。東京エレクトロンはコータデベロッパ(フォトレジスト塗布・現像装置)やドライエッチング・CVD装置に強みを持つメーカーであり、マルマエの強みを持つ工程と一致しています。特に、2020年には東京エレクトロンのExcellent Partner Awardを受賞するなど、東京エレクトロンとの強固な関係がうかがえます。

 また、次いで売上げが高いのは日本発条です。直近の4期では、企業単体として一番売上比率が大きくなっています。日本発条は、自社工場である神奈川県の伊勢原工場と長野県の宮田工場の2か所で半導体プロセス部品を製造しています。具体的には、成膜装置向けのステージヒーターやエッチング装置向けの静電チャック冷却板とシャワーヘッドを製造しています。いずれの装置もマルマエで製造する真空パーツと重複しているように思えますが、一部の工程もしくは部品の加工をマルマエに委託しているのでしょうか。。。

出典:日本発条株式会社

おわりに

 以上、株式会社マルマエの半導体関連事業について、公開情報を基にまとめてみました。新たな情報や資料が公開され次第、内容をアップデートしてきます。

参考資料

株式会社マルマエ (marumae.com)

株式会社マルマエ 統合報告書 マルマエレポート|リンク

株式会社マルマエ マルマエレポート2021|リンク

株式会社マルマエ マルマエレポート2022|リンク

精密な半導体の製造ラインに欠かせない「マルマエ」 | MonJa〈もんじゃ〉お金と暮らしの情報サイト (mon-ja.net)

株式会社マルマエ 2019年8月期 有価証券報告書 |リンク

株式会社マルマエ 2020年8月期 有価証券報告書 |リンク

株式会社マルマエ 2021年8月期 有価証券報告書 |リンク

株式会社マルマエ 2022年8月期 有価証券報告書 |リンク

株式会社マルマエ 2023年8月期 有価証券報告書 |リンク

半導体製造装置|製品・技術|ニッパツ 日本発条 (nhkspg.co.jp)

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