はじめに
今回は、半導体デバイスの基板材料である「シリコンウェーハ」に関連した国内主要メーカーをまとめてみました。その他の半導体関連の企業は以下のブログにまとめていますので、ぜひご覧ください!
シリコンウェーハとは
シリコンウェーハとは、高純度の珪素(シリコン)の円形の薄い板(ウェーハ)のことです。円柱状になっている珪素の塊(インゴット)を、厚さ1mm程度にスライスし、その表面を丁寧に研磨、洗浄することで完成します。半導体デバイスはこのシリコンウェーハを土台にして作られるため、結晶完全性・高平坦度・高清浄度といった高い技術力が要求されます。
シリコンウェーハ製造工程
シリコンウェーハは、以下のような複数工程を経て製造されます。
単結晶インゴット製造工程
単結晶インゴットの代表的な製造方法である、CZ法(Czochralski=チョクラルスキー法)の工程は次の通りです。
1.金属不純物の濃度数がppb以下(1ppb=10億分の1)に高純度化された多結晶シリコンを、ホウ酸(B)やリン(P)とともに石英ルツボに入れ、不活性ガス雰囲気の減圧下で約1420℃で融解させる。
2.ルツボ内で融解したシリコンの液面に種結晶シリコン棒をつけ、回転させながら引き上げる。
3.種結晶と同じ原子配列をした単結晶インゴットが完成。
ウェーハ加工工程
基本的なシリコンウェーハである、ポリッシュト・ウェーハの製造工程は次の通りです。
1.単結晶インゴットを既定の長さに切断し、規定の直径に外周を研削する。
2.内周刃切断機もしくはワイヤーソーを用いて厚さ1mm程度にスライスし、ウェーハ状にする。
3.ダイアモンド砥石にてウェーハ外周を製品直径に研削し、端面を円弧状に研削・面取りする。(ベベル加工)
4.ウェーハ両面を平行になるように整えながら、所定の厚さに仕上げるため、アルミナ研磨材で粗研磨(ラッピング)する。(両面機械研磨)
5.化学的なエッチングにより、前工程までにウェーハ表面上についた機械加工によるダメージを除去する。
6.拡散炉による熱処理を行い、結晶育成中に生成した酸素起因の不安定なドナー(n型不純物)を分解して、本来の抵抗率に戻ス。
7.ウェーハ表面の凹凸をなくし、平坦度の高い鏡面仕上げを行うため、コロイダルシリカ液を用いてメカノケミカル研磨を施す。(ポリッシング(片面鏡面研磨))
8.化学薬品と超純水でウェーハを洗浄し、化学的、物理的に清浄化する。
9.高輝度スポットライトをウェーハ表面にあてる外観検査と、装置による平坦度、比抵抗、表面に付着した極微小粒子の数などの検査を行う。
10.清浄な出荷用ケースに納め、さらに湿気などを通さない特殊な袋に封入し、出荷される。
特殊加工工程
アニール・ウェーハ(Annealed Wafer)
ポリッシュト・ウェーハを水素もしくはアルゴン雰囲気中で高温熱処理(アニール処理)し、表面の酸素を除去することによって、結晶完全性を高めたウェーハ。
エピタキシャル・ウェーハ(EW:Epitaxial Wafer)
ポリッシュト・ウェーハをエピタキシャル炉の中で約1200℃まで加熱し、炉内に気化した四塩化珪素(SiCl4)、三塩化シラン(トリクロルシラン、SiHCl3)を流すことで、ウェーハ表面上に単結晶シリコンの膜を気相成長(エピタキシャル成長)させる。結晶の完全性が求められる場合や、抵抗率の異なる多層構造を必要とする場合に対応。トランジスタ、ダイオードなどの個別素子、またバイポーラ型およびMOS型のIC用基板に利用される。
SOIウェーハ(Silicon-On-Insulator Wafer)
支持基盤(Handle Wafer)と、半導体デバイスを作り込む活性基板(Active Wafer)のどちらか一方、もしくは両方に酸化膜を形成し、二枚を貼り合わせて熱処理することで結合させる。電気絶縁性の高い酸化膜層をウェーハ内部に形成させることで、半導体デバイスの高集積化、低消費電力化、高速化、高信頼性を実現したウェーハ。
【参考】
シリコンウェーハの製造方法, SUMCO
シリコンウェーハの製造プロセス, グローバルウェハーズ・ジャパン
シリコンウェーハメーカー
3436:SUMCO
4063:信越半導体(信越化学工業)
グローバルウェーハズ・ジャパン
6890:フェローテック
シリコンウェーハ用素材メーカー
多結晶シリコン
5711:三菱マテリアル(SUMCOに多結晶シリコン事業を譲渡)
4043:トクヤマ
エッチング用薬液
関東化学
4188:三菱ケミカル
4109:ステラケミファ
4452:花王
特殊加工用ガス
四塩化ケイ素(SiCl4)
東京化成工業
4043:トクヤマ
関東化学
4063:信越化学工業
東横化学
三塩化シラン(トリクロルシラン、SiHCl3)
4063:信越化学工業
東京化成工業
シリコンウェーハ製造装置メーカー
単結晶引き上げ装置
5711:三菱マテリアルテクノ
6890:フェローテックHD
テクノサーチ
第一機電
インゴット切断・外周研削機
スライシング装置
6125:岡本工作機械製作所
コマツNTC
トーヨーエイテック
7729:東京精密
7271:安永
エッジ研磨装置(ベベリング装置)
スピードファム
5381:Mipox
7609:ダイトロン
アイエムティー
7729:東京精密
マブチ・エスアンドティー
両面研磨装置(ラッピング装置)
7609:ダイトロン
スピードファム
不二越機械工業
光洋機械工業
6125:岡本工作機械製作所
マブチ・エスアンドティー
グラインダー
6146:ディスコ
7729:東京精密
エーエムティー
6125:岡本工作機械製作所
片面研磨装置(ポリッシング装置)
不二越機械工業
スピードファム
6146:ディスコ
7729:東京精密
7609:ダイトロン
光洋機械工業
6125:岡本工作機械製作所
マブチ・エスアンドティー
剥離・洗浄装置
エピタキシャル成長装置
シリコンウェーハ検査装置メーカー
欠陥検査装置
7609:ダイトロン
コベルコ科研
ブイ・テクノロジー
日本セミラボ
西華デジタルイメージ
エッジ形状測定装置
膜厚測定
平坦度検査装置・表面形状検査装置
7609:ダイトロン
コベルコ科研
7726:黒田精工
日本セミラボ
キャリア・ライフタイム測定
熱特性検査装置
7609:ダイトロン
電気抵抗測定(電気特性検査装置)
ウェーハケース・ストッカー
4063:信越ポリマー(信越化学工業)
7609:ダイトロン
大日商事
4238:ミライアル
8012:長瀬テクノエンジニアリング(長瀬産業)
三甲
ヤマトマテリアル
ゴールド工業
その他関連企業
4063:信越石英(信越化学工業):シリコン単結晶引き上げ用石英るつぼ
7004:日立造船
三菱マテリアルテクノ
*僕自身まだ勉強中の素人ですので、誤りを見つけ次第、適宜訂正していきます。
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