窒化ガリウム (GaN) とは、ガリウム(Ga)と窒素(N)の化合物です。2種類以上の元素が結合してできる半導体であることから、化合物半導体に分類されています。
半導体の用途は様々ですが、特にパワーデバイスは、鉄道や自動車等の車両、冷蔵庫やエアコンなどの家庭電化製品、パソコンやスマートフォン等の情報通信機器、発電・送電システム等、様々な分野で応用されています。しかし、パワーデバイス素材の中でもシリコン(Si)結晶基板を使ったパワーデバイスでの特性改善が限界に近づきつつあります。特に、通信規格5Gをはじめとする高速通信では、高い周波数の電波が使用されています。そのため、基地局やデータセンターで用いられる通信デバイスでは、高周波に対して高速で安定した動作が求められています。
そんな中GaNは、バンドギャップはSiの約3倍の大きさで、絶縁破壊電界は約11倍という材料特性を持っています[1]。このため、GaNデバイスはSiデバイスと比べて、ドリフト層の厚さを薄くでき、熱損失の原因となるオン抵抗を小さくできる。また、バンドギャップが大きく、飽和電子速度も大きいことから、高出力かつ高速の電子デバイスへの応用が期待されている[2]。



【出典】
[1]特許庁, 令和 3 年度特許出願技術動向調査 - GaN パワーデバイス
[2]住友電気工業株式会社, “無線通信用GaN HEMTの開発”, SEIテクニカルレビュー, 第192号,2018年1月|リンク
コメント